豊昇龍名古屋場所も途中休場に学ぶ「月に叢雲花に風」

「月に叢雲花に風」(つきにむらくも、はなにかぜ)

横綱豊昇龍が2025年7月の名古屋場所も五日目から途中休場することになった。四日目までに一勝三敗で三日連続での金星供給という状況だった。

そして、この「月に叢雲花に風」ということわざの意味は、美しい月を見るには雲が邪魔をすることがあり、花見をしようとすれば風で花が散ってしまうことがある。そこから何事も良いことばかりではなく邪魔が入ったり何だりで思う通りにはならないことを表している。

豊昇龍は個人的には好きな力士だ。

朝青龍という良くも悪くも勢いがあった叔父さんの甥っ子というプレッシャーを乗り越えて横綱を掴んだのは素晴らしい。

ただ、ちょうど照ノ富士が引退を発表して、横綱が空位になることを避けるために今ひとつの成績だった豊昇龍が横綱に引き上げられた経緯に違和感がある人が多いこともよく解る。

でも、力士なら必ず目指すであろう横綱に指がかかるチャンスはなかなかないし、相撲協会の事情に関わらずそのチャンスが巡ってきたのであれば逃すべきではないと思う。

そして、今回のように「月に叢雲花に風」で自分の思うようになることばかりではなく、横綱になればなったでその苦労と挑戦はずっと続くものである。

日頃の稽古ではみんな遠慮して強く当たってこないだろうが、本場所になればみんな喰ってやろうという意気込みで本気でぶつかってくることに戸惑いもあるだろう。

その苦労と葛藤は豊昇龍本人以外実感として体感できる者はいない。本人が良いことも悪いことも全て自分で受け止めていることだ。

だから、ぜひ次の九月場所には捲土重来で優勝に絡むような活躍ができるように体を整えて欲しい。

その昔の時代から、人間社会や世の中は自分の思い通りにはいかないものだと故事・ことわざ・四字熟語が教えてくれている。

「月に叢雲花に風」だと思って、必要以上にプレッシャーを感じずに土俵に戻ってきて欲しい。