日経新聞春秋コラム立花孝志氏の悪口批判に学ぶ『自寛他厳』(じかんたげん)

『自寛他厳』(じかんたげん)

本来は「自厳他寛(じげんたかん)」という四字熟語が正解。自分には厳しく、他人には寛容に接するという意味で、自分自身を律しながらも他者への思いやりを大切にする姿勢を表す四字熟語。

『自寛他厳』(じかんたげん)は、逆に自分に甘く他人に厳しいことに作り変えてみた言葉。

自分のことは棚に上げて人のことばかりを批判する姿勢を戒める意味を込めている。

2025年12月3日付の日本経済新聞朝刊の春秋というコラムで、鎌倉時代の御成敗式目から「悪口の咎」という項目を引き、名誉棄損で起訴された「NHKから国民を守る党」党首の立花孝志氏に結びつけ、最後のまとめでは、令和の現在は標的となった人にスマホから簡単に誹謗中傷を送ることができる時代で、そんな世の中で良いのか?と結んでいる。

日本経済新聞に限らず、この手の論調をその他新聞やテレビなどのメディアが展開することに非常に違和感を覚える。

逆に、この種の誹謗中傷で標的となった人を襲う手法は、これまでは新聞やテレビを中心とするオールドメディアの常とう手段だったのではないのか?

政治家や企業、その他にもいろいろな事情で矢面に立たなくてはならない人たちが何かちょっとした落ち度があったときに、散々叩いて落として、それこそ人生を滅亡まで追いつめてきたのが週刊誌も含めたオールドメディアだった。

そう思うと、オールドメディアは本当に自分のことを棚に上げて外を批判する『自寛他厳』(じかんたげん)のプロだなと思う。

確かに、スマホから簡単に誹謗中傷といった類の悪口を送ることができる時代ではあるが、その反面、自己防衛的に自分が発信をすることができる時代でもある。

誰でも自分が発信して自分を表現できるし、自分をプロデュースすることもできる。

適法か違法か、道徳的にコンプライアンス的に適切か不適切かの問題もあるが、誰でも自分の感性に近い人に共感を送りつながることができる。

それが、今の時代のポジティブなメリットの面でもある。

その力をこれまで長い期間オールドメディアが独占してきたというだけのことだ。

ぜひ、新聞・テレビ・週刊誌などは胸に手を当てて『自寛他厳』(じかんたげん)という言葉を考えてみてもらいたい。

2025年流行語大賞「働いて×5」と「女性首相」に学ぶ『前事不忘』(ぜんじふぼう)

『前事不忘』(ぜんじふぼう)

過去の出来事を忘れないことが将来の教訓となるという意味で、過去の経験や教訓を戒めや手本として活かすことの重要性を説く四字熟語。

「前事を忘れざるは、後事の師なり」という故事成語の一部で、過去の失敗や成功を忘れず、それらを今後の行動の参考や手本にすることの大切さを教えてくれる。

2025年の流行語大賞に「働いて働いて働いて働いて働いてまいります」という初の女性首相となった高市首相が自民党総裁選直後の演説で用いた言葉が選ばれた。

他にも、「トランプ関税」や「古古古米」、「戦後80年/昭和100年」「緊急銃猟/クマ被害」なども選出されている。

流行語大賞は、その年その年で印象に残っている言葉が毎年選出されるが、自分で気を付けたいなと思うことは、その年の話題になってもすぐに忘れてしまうこと。

流行語大賞は、いろいろな意味でその年を象徴する言葉であり、そこから学べることは何かしらあるはずなので、少しでも自分なりに頭に刻んで戒めや励みに用いるようにしたい。

ちなみに、2024年の流行語大賞は「不適切にもほどがある」というドラマを短縮させた「ふてほど」という言葉が選ばれたが、さすがにこれは異論が多かったようだ。

他にも大谷翔平選手の成績から「50-50」や、2024年7月に発行された「新紙幣」などが選出されていた。

では、2023年の流行語大賞はというと、当時の阪神タイガース岡田彰布監督が使った「アレ(A.R.E.)」という言葉。

これは優勝を意味するが、選手たちが優勝を意識しすぎないように「アレ」と表現したことに由来して、そこからAim(目標)、Respect(尊敬)、Empower(力づける)という意味もこじつけるように込められたようだ。

他にも、今では毎日のように耳にする「生成AI」も2023年の流行語大賞に入っていた。

このように情報がたくさんある時代、昔のことはすぐに忘れてしまいがちだが、2026年は『前事不忘』(ぜんじふぼう)を教訓に、様々なことから日々の学びを深めていく習慣を定着させよう。

愛子さま24歳の誕生日に学ぶ『八面玲瓏』(はちめんれいろう)

『八面玲瓏』(はちめんれいろう)

「八面」という言葉はあらゆる方面を意味し、「玲瓏」という言葉は宝石のように明るく澄みきっている様子を意味する言葉。

どこから見ても曇りなく明るく美しい様子を意味し、転じて心にわだかまりがなく清らかであること、また人とのつきあいが円満で巧みであること。特に人柄や言動が外面的な美しさや内面の清らかさ、人間関係の巧みさを表す四字熟語。

天皇家の皇女、敬宮愛子内親王が24歳の誕生日を迎えられた。

成年皇族となられてからの愛子さまはとても意欲的に活動の場を広げられているような印象が強い。そんな敬宮愛子内親王も24歳になられた。

先日も初めてお一人でラオスを公式訪問され、日本国内でも少しずつお一人で公務を務められる機会も増えてきた。

ラオスで振袖の和服姿でご挨拶をされている様子を拝見すると、天皇皇后両陛下のご教育がしっかりと身に付き、そして日本を代表して各国の方々と立派に接することができるお姿に頼もしさを感じる。

個人的には、今から24年前に愛子内親王がお生まれになったときのことも記憶に強い。

やはり、正直に言って国内的には男子の出産を強く望まれた風潮があったことも否めないが、当時は皇太子であった現陛下が愛子さまを愛らしい目で見る眼差しがとても印象的だった。

お世継ぎに関することを問題にするのは周囲であって、当事者としての、親としての皇太子殿下からは、お生まれになった愛子さまをお世継ぎの問題とは切り離して愛しけられるという強い覚悟を感じた気がした当時だった。

その後に秋篠宮家に悠仁さまがお生まれになったこともあり、愛子さまを見る世間の目も少し落ち着きを取り戻したという経緯も一般庶民としては感じるところだ。

そんな敬宮愛子内親王は天皇皇后両陛下からのご教育で、日本中や世界中の方々と接するときのお人柄に『八面玲瓏』(はちめんれいろう)が現れている。

さり気ない笑顔と謙虚さで周りの人を委縮させない雰囲気に好感を持つ日本国民の人も多いことだろう。

ぜひ、ご健康で健やかな24歳の一年間をお過ごし頂きたい。

大関青安錦誕生に学ぶ『超逸絶塵』(ちょういつぜつじん)

『超逸絶塵』(ちょういつぜつじん)

卓越した才能や俗世間からかけ離れた高みを意味する四字熟語。

「超逸」は、ずば抜けて優れていることを意味して、「絶塵」は塵一つもたたないほど速く走るという意味。「超逸」が才能や人柄を称賛するようなニュアンスで、「絶塵」が他の追随を許さない速さを強調するような構成になっている。

安治川部屋所属の青安錦関が「絶塵」史上最速で大関昇進となり、「超逸」の活躍ぶりを発揮した。

まだ21歳の若者。外国人力士を見るといつも感心することは、しっかりと日本語を自分の言葉として話せるようになっていること。

特に相撲独特のまわしスタイルは、日本人であれば幼い頃からテレビなどで見る機会もあり違和感は少ないかもしれないが、欧米文化で育った人にとっては抵抗が大きいこともあるだろう。

まわしスタイルや髷なども日本文化として、逆に積極的に取り入れ馴染もうとするような考え方でなければ、それでなくても稽古自体が厳しい大相撲の世界では生き延びられない。

そして、青安錦関は現在ロシアと戦争中であるウクライナ出身ということが、また応援したくなる要素にもなっている。

かつてはハワイ出身の力士たちが席巻し、その後も根強く大相撲を守ってくれているモンゴル出身の力士たち、そしてブルガリアやジョージア出身の力士たちも貢献してくれた。

白い肌のまわしスタイルは足が長過ぎて、私たち日本人の体形からするともったいない気もするのが不思議ではあるが、広く世界全体に日本の伝統文化である大相撲を広めてくれるとありがたい。

これからも、大関青安錦も含めた大相撲の世界で稽古に励む若者たちを応援していきたい。

『超逸絶塵』(ちょういつぜつじん)

ボクシング那須川天心対井上拓真に学ぶ『竜騰虎闘』(りゅうとうことう)

『竜騰虎闘』(りゅうとうことう)

実力が拮抗した二者が互いに激しく争うことをたとえる四字熟語。

竜と虎のように、力の差がない強者同士が持てる力を尽くして戦う様子であり、竜が勢いよく天に昇る「竜騰」と、虎が激しく戦う「虎闘」を組み合わせた四字熟語。

ボクシングWBC世界バンタム級王座決定戦が行われ、大橋ジムで井上尚弥選手の弟の井上拓真選手と帝拳ジムの那須川天心選手がぶつかった!

前回堤選手に敗北した井上拓真選手よりも勢いとスピードに定評がある那須川天心選手の方が、どちらかと言えば戦前の下馬評が高かったように思える。

それを覆しての井上拓真選手の3-0での完全判定勝利という結果だった。

まさに、『竜騰虎闘』(りゅうとうことう)で実力伯仲の熱い戦いだったようだ。

そして、何よりも両者の評価を上げたのが、試合が終わった後の対戦相手を称えるやり取りであり、戦後のコメントだった。

これまでのキャリアで初の黒星を喫した那須川天心選手だが、判定時にはしっかりと井上拓真選手に拍手を送り、ファンには深々と頭を下げた。

井上拓真選手も1Rの立ち上がりで那須川天心選手の強さを実感したとコメントし、本当に苦労の末に勝利を手にした安堵の気持ちを表した。

このように、本当に強い者同士はつまらない煽りは必要なく、相手に向き合いながらも実は自分自身と向き合っているという競技者の一面を垣間見せた。

どんな競技も相手を上回ることを目指すが、そこで向き合うのは相手と同時に自分自身ということを教えてくれた気がする。

そして、試合後は勝っても負けても相手を称え、そして次の試合に向けてまた自分の弱さや足りないところを補い、強いところを伸ばすためにしのぎを削る。

これからも若いこの二人の戦いから学べることはたくさんあるだろう。まずは今回の疲れを癒して、次なる戦いへ向けて再スタートして欲しい。

『竜騰虎闘』(りゅうとうことう)

歌舞伎座開業記念日に学ぶ『金城鉄壁』(きんじょうてっぺき)

『金城鉄壁』(きんじょうてっぺき)

金のように風格のある城と鉄製の壁という意味から、難攻不落、守りの堅いお城のこと。 転じて、他から侵されにくい場所を指す四字熟語。

また、守りが非常に堅固で容易には破られないことを意味することから、伝統や文化の強固さなど、地域社会で守るべきものの堅牢さにも例えられる。

1889年(明治22年)11月21日、東京・木挽町(現在の東銀座)に歌舞伎座が開場したことから歌舞伎座開業記念日となっている。

今年話題の映画、「国宝」が空前のヒットとなっているので、これまでよりも歌舞伎を身近に感じたり、親しみをもったり興味を持つきっかけになったという人も多いことだろう。

大相撲とともに日本の伝統や文化の象徴ともいえる歌舞伎。

ただ、逆に大相撲も歌舞伎もその存在を知ってはいるものの、なかなか現地で生の公演を見る機会を得られる人はそう多くはない。

そんな人たちにとっては、相撲の世界はネットフリックスのドラマ「サンクチュアリ」で、歌舞伎の世界は「国宝」で垣間見ることができたと言える。

「サンクチュアリ」や「国宝」があれだけヒットするのは、やはり私たち国民全体が相撲や歌舞伎といった伝統文化を『金城鉄壁』(きんじょうてっぺき)のごとく守り抜いていることの証左ではないだろうか。

あまり知られていないことかもしれないが、歌舞伎の「かぶき」という言葉は、「傾く」「頭をかしげる」を意味する「傾く(かぶく)」から来ているそうだ。

確かに報道などで歌舞伎公演の様子を見ると、頭をかしげてかぶいている動きを見ることがある気がする。

そして、現在の歌舞伎座は2013年(平成25年)に「GINZA KABUKIZA」という名称で改築新装された。

伝統文化の幹は大切に残しながら、「不変は万変に応ずる」という言葉通りに様々な部分は時代とともに変化させていくことが大切であろう。