『雲翻雨覆』(うんぽんうふく)
世間の人の態度や人情が、変わりやすいことのたとえ。人の心や態度が変わりやすいこと、または様々な手段を巧みに弄することを指す故事成語。
手のひらを上に向ければ雲、下に向ければ雨になるように、物事がくるくると変わる様子を唐の詩人「杜甫」が人間の軽薄さとして嘆いた詩が『雲翻雨覆』の由来元。
大阪・関西万博が10月13日に閉幕した。自分自身は結局最後まで訪れる機会はなかった。
新聞各紙やテレビなどのオールドメディアもSNSも閉幕を惜しむ人の声で溢れている。
今回の万博は海外の158の国や地域から出店があったそうだ。来場者数は2500万人を超えて、運営費の収支については230億~280億円の黒字となる見込みと発表されている。
個人的には現地を訪れずに大会やパビリオンの様子は判らないものの、大阪・関西万博に関するオールドメディアの報じ方には違和感が残る。
開催前にはあれだけネガティブな報道が多かったことを覚えている人も多いことだろう。
前売りチケットの売れ行き不振、大会は赤字の見込み、海外パビリオン工事の遅れ、海外パビリオン工事費の未納問題などなどが大きく何度も扱われ、万博への期待が棄損された気もしていた。
それが、開催後に来場者の多くがSNSで肯定的に発信するや否やオールドメディア全体もそれの空気に追随。
終いには、今朝の新聞に『ありがとう夢の祭典』の見出し。
手のひらを上に向ければ雲、下に向ければ雨というように扱い方次第で人の心を操れるかのようなメディアの傲慢を感じる気もする。
それと同時に、我々情報の受け取り手もメディアの報じるニュースによって、世間の人の態度や人情が変わりやすいことを証明してしまっている。
私たちはメディアが報じる断片的な情報だけで、いろいろなことを肯定的や否定的に判断しようとしてしまう習性がある。
それを自分で理解した上で様々な情報に接する習慣を身に付けたい。
『雲翻雨覆』(うんぽんうふく)
