神嘗祭(かんなめさい)に学ぶ『鼓腹撃壌』(こふくげきじょう)

『鼓腹撃壌』(こふくげきじょう)

世の中が太平でよく治まっている状態を指す四字熟語。

満腹で腹つづみを打ち、大地を足でたたいて拍子を取って踊る様子から来ており、古代中国の伝説上の聖天子である「堯(ぎょう)帝」の時代、人々が安楽に暮らしていたことを示す故事に由来する。

伝説では、堯帝が天下の治まり具合を確かめるために、こっそり街へ出かけるとある老人が満腹になって腹つづみを打ち、地面を踏み鳴らしながら歌っているのを見つける。

老人が歌っていた歌は、「日が昇れば働き、日が沈めば休む。井戸を掘って飲み、田を耕して食べる。帝(堯帝)の力など関係ない」という内容で、人々の満ち足りた生活を表していた。

その様子を見た堯帝は、自分の政治が正しく行われていることを確信し、喜んだという逸話。

そこから政治がうまく行われ、人々が平和で安楽に暮らしている状況を表現する際に使われる四字熟語となった。

今日は宮中祭祀の一つで、五穀豊穣の感謝祭で天皇がその年の新穂を天照大神に奉納する儀式が行われる神嘗祭(かんなめさい)。

伊勢神宮でも儀式が行われ、年間1500回に及ぶ伊勢神宮の恒例の祭りの中でも、神嘗祭は最も重要な祭りで、神宮の年間の祭典は神嘗祭を中心に行われているとも言われる。

天皇陛下が行う宮中祭祀は、五穀豊穣と国民の安全、さらに『鼓腹撃壌』(こふくげきじょう)な世の中を願う儀式であろう。

私たちが知らないところで天皇陛下の祈りの儀式は行われている。

それでも災害が絶えないのが現状ではあるが、国民の安心安全、実り豊かな自然を願う天皇陛下の立場からすると、世の中の災害や事件・事故にはさぞ心を痛めることだろう。

私たちも大人になったら、天皇陛下の存在意義を少しでも理解して過ごしたいものである。

『鼓腹撃壌』(こふくげきじょう)