『駑馬十駕』(どばじゅうが)
駑馬(どば)とは、足が遅くて劣った馬のこと。十駕(じゅうが)とは、馬にとっての10日間の行程のこと。1日一駕(馬車を引くこと) の10日間分が「十駕」ということになることから、才能が劣る者でも、絶え間ない努力を続ければ、才能豊かな者に追いつくことができるということをたとえる四字熟語。
由来は『荀子』の記述で、才能に恵まれた駿馬が一日に千里を走るのに対し、鈍い馬でも10日かければ同じだけ走れるということ。
LAドジャースが神がかったポストシーズンを勝ち切って二連連続のワールドシリーズを制した。
普段はほとんど野球もメジャーリーグも見ないし、少しニュースで経過を知るくらいだが、メジャーリーグのこのポストシーズンは興味深く見守っていた。
三勝三敗で最終戦までもつれ込み、第七戦目も九回ツーアウトまではトロントブルージェイズが勝っていた。
そこから同点ホームランと、それぞれの満塁追加点なし、そして逆転ホームランと山本由伸の中ゼロ日での連投での優勝は劇的を通り越し、漫画でも映画でもドラマでも作ることができない現実の夢を見せてくれた。
相手方のトロントブルージェイズの監督を始め選手たちも悔しい試合となったことと思うが、野球の神様はドジャースに微笑んだ。
これを私たち一般人の日常生活に当てはめることはできないが、日々の生活へ勇気をもらった人も多かったに違いない。
そもそも日本のプロ野球自体が才能がある人たちが努力を重ねてたどり着ける領域。プロ野球の世界で生き残るだけでも過酷で熾烈だ。
そこからさらにメジャーに挑戦して、リーグ優勝だけでも大変なことなのに、ワールドシリーズに出場して活躍して優勝、連覇するという体験をできる人たちと私たちの生活は比べ物にならない。
ただ、私たちも『駑馬十駕』(どばじゅうが)のごとく、何かしらの努力を続ければ、自分たちなり成果を表せるはずだし、自分たちなりの境地に達することができる。
そこはワールドシリーズの舞台でも宇宙開発でもノーベル賞受賞でもないだろうが、自分なりに努力して自分にしか見えない景色を自分が楽しむという気構えが非常に大切だろう。
人と人の能力の差はいかんともしがたく、神様は非常に理不尽で不公平なときもある。
でも、人生の味わい方には上下も優劣も正誤もないはずだ。
私はメジャーリーグの選手たちから改めてそんなことを学んだし、『駑馬十駕』(どばじゅうが)という自分なりの速度と歩幅の大切さも学ぶことができた。
