『柳に雪折れなし』
柳は枝がしなることで雪が積もっても枝が折れないことから、柔軟なものやしなやかなものが、堅いものよりもかえって厳しい環境や試練に耐えることができる、というたとえを意味することわざ。
映画『国宝』を観た。
ネタばれになってしまうので細かい感想を書くことは控えるが、映画全体を通して自分なりに今現在感じていること、学んだ教訓は『柳に雪折れなし』という生き方。
人にはそれぞれ生まれついた環境や宿命が違う。運命と言ってしまえばそれまでではなるが、運命で片づけてしまうと何となく自分では変えることができないという受け身の印象になってしまう。
確かに運命ではなるが、その宿命や環境を自分の中で受け入れて、そこから自分がどうしたいのか、どうなりたいのか、自分には何ができるのか、自分は何か得意で何が不得意なのかを考え、実践して、修正していくことを積み重ねることで単に運命で変えることができないことではなく、乗り越え達成していくことができる生き方に変わる気がする。
ただ、そこにはまた人間それぞれに葛藤もある。
他の人の人生を歩むことはできず、他の人の人格になることもできないし、他の人の人生を体感することもできないし、他の人の思考を理解することもできない。
さらに芸の道やスポーツ、武道、競輪でも競馬でも囲碁でも将棋でも、その他至るところに競い合いがある。競い合えば勝つ人もいれば負ける人もいる。才能が豊かな人もいれば才能に乏しい人もいる。
そんな社会というところは自分一人で作り上げるものではなく、多くの見知らぬ大多数の人とともに築き上げるところになる。
ある程度理解できる他人もいれば、まったく理解できない他人もいる。そんな人たちと社会生活を送るとなると疲れもするし、競争による勝ち負けや嫉妬、妬み嫉みもある。
そこで、生き方の教訓として『柳に雪折れなし』というしなやかな思考が重要だ。
川の流れに身を任せるように、柳の枝のようにしなやかに、柔軟に振る舞うことで厳しい社会生活に枝が折られるようなことがない生き方ができると思う。
人はときに頑なに曲げない信念が必要で重要だと錯覚するときもあるが、心の中や気持ちは熱く強固でも、対人関係は『柳に雪折れなし』に学ぶ柳の枝のような生き方や振る舞い方を心がけたい。
『柳に雪折れなし』