日産GT-R生産終了に学ぶ『鶏群の一鶴』

『鶏群の一鶴』(けいぐんのいっかく)

鶏の群れの中の一羽の鶴という表現から、多くの凡人の集団の中に際立って優れた一人の人物、優れた人物やその理想的な姿を表すことわざ。

日産GT-Rが最後の一台を作り終え、生産を終了すると発表した。

日産GT-Rは乗ったことやハンドルを握ったことはないが、我々のような車世代には「いつかはクラウン」以上に日産GT-RやフェアレディZ、ホンダNSXといった国産スポーツカーに憧れを持つ人も多いのではないだろうか。

もちろん、それはイタリア社のフェラーリやランボルギーニというスーパーカーに対しても同じ気持ちだとは思うが、国産スポーツカーはスーパーカーよりはもう少し手が届きそうという身近な感情もあった。

車であれば軽自動車からトラックやバス、クーペやセダン、SUVなどたくさんの車種があるが、特にGT-Rには『鶏群の一鶴』と言えるような他の車にはない際立った存在感を感じたものだった。

ただ、若い頃には憧れるような車だった一方、実際に自分で所有して乗ろうというところまでには至らなかった。

高額な車には高額なランニングコストが必要ということも判ってきたし、スピードが出る車に乗るとスピードを出したくなるので、事故や違反のリスクもつきまとう。

GT-Rを買えるかもしれないという年頃になると、現実的に自分にとって必要な車種という選択をするようになってしまった。

良くも悪くも歳をとったということなのだろう。

それでもGT-Rの生産を続けてくれていたら、これから先々に購入意欲が目覚めるときがきたかもしれない。

実際にはこれからも中古車市場で買うこともできるとは思うが、きっとプレミアがついて、さらにかなり高額な価格で取引されることだろう。

今や個性を感じるような車が少なくなり、車種選びで自分の世界観を表現できるような時代ではなくなった。

これからの時代の車選びは燃費や自動運転、安全機能という競争軸になるのだろう。

車に強い憧れがあった昭和世代から考えると隔世の感がある。

『鶏群の一鶴』(けいぐんのいっかく)