ミラノ・コルティナ冬季オリンピックが華やかに幕を開けた、2026年2月。 窓の外にはまだ寒さが残るものの、教室の中はどこかそわそわとした熱気に包まれていました。
教壇に立つのは、少しお調子者だけど生徒想いの「shimo(シモ)」先生。 今日は算数の授業の予定でしたが、黒板に大きく書かれたのは**「銀盤の歴史を繋ぐもの」**という文字。
「よし、みんな!今日は計算ドリルをいったん閉じて、今イタリアで始まったばかりの熱い戦いの話をしようじゃないか」
shimo先生がタブレットを操作すると、電子黒板にミラノの美しい街並みと、華麗に氷上を舞うスケーターの姿が映し出されました。
❄️ 第1章:道を切り拓いた先駆者たち
「先生、ミラノのオリンピック、昨日テレビで観たよ!鍵山選手や坂本選手がすごかった!」 元気なソータが手を挙げます。
「その通り!でもね、今の日本のフィギュアスケートがこれほど強いのは、かつて氷の上に『道』を切り拓いた先覚者たちがいたからなんだ。まずは、伝説の始まりから見ていこう」
shimo先生は、少しセピア色の映像を流しました。
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伊藤みどりさん(1992年 アルベールビル) 「彼女は、女子で世界で初めてトリプルアクセルを成功させたんだ。あの高さ、あの迫力。当時、世界中は驚愕した。彼女が獲った銀メダルが、日本フィギュア界のオリンピック初メダルだったんだよ」
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荒川静香さん(2006年 トリノ) 「そして、イタリアといえばこの人を忘れてはいけない。トリノ大会での金メダル。あの『イナバウアー』の美しさは、今でも語り草だ。日本中にフィギュアブームを巻き起こした、まさに女神のような存在だったね」
「へぇー、昔から日本は強かったんだね」と、クラスの女子アスリート、アカリが身を乗り出します。
⛸️ 第2章:氷上のライバルと「絶対王者」の降臨
「ここからが、みんなのパパやママも夢中になった時代だよ」と、shimo先生はいたずらっぽく笑います。
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浅田真央さんと高橋大輔さん(2010年 バンクーバー) 「バンクーバー大会。真央ちゃんのトリプルアクセル3回成功は、歴史に残る快挙だった。結果は銀メダルで本人は悔し涙を流したけれど、あの真っ直ぐな努力に日本中が涙したんだ。そして高橋選手は、男子で日本初のメダル(銅)を獲った。彼がいなければ、今の男子の層の厚さはなかったかもしれない」
そして、shimo先生の声に力がこもります。
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羽生結弦さん(2014年 ソチ、2018年 平昌) 「そして、この名前を知らない人はいないだろう。羽生結弦。オリンピック2連覇という、66年ぶりの偉業を成し遂げた。彼は単に勝つだけじゃなく、東日本大震災を乗り越え、絶え間ない怪我と戦いながら滑り続けた。彼のスケートは、もはやスポーツを超えたアート(芸術)だったんだ」
電子黒板には、平昌のリンクに降り注ぐ「プーさん」の雨と、氷に感謝する羽生選手の姿が映し出されました。教室は一瞬、静まり返ります。
🇮🇹 第3章:北京、そしてミラノ・コルティナへ
「そして前回の北京大会、そして今、目の前で開催されているミラノ・コルティナへとバトンは渡されたんだ」
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宇野昌磨さん(2018年 平昌、2022年 北京) 「独自の表現力と圧倒的なジャンプで、2大会連続のメダル。彼は『自分らしくあること』の大切さを教えてくれた」
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鍵山優真さんと坂本花織さん 「北京で銀メダルを獲った鍵山選手は、今や世界を牽引するエース。そして坂本選手。彼女の爆発的なスピードとダイナミックなジャンプは、今この瞬間もミラノの氷を震わせている。さらに『りくりゅう』ペア(三浦璃来・木原龍一組)のようなペア競技でも、日本は世界トップクラスなんだよ」
shimo先生は、タブレットを置いて生徒たちの目を見つめました。
✨ 終章:君たちの「オリンピック」はどこにある?
「みんな。今日紹介した選手たちに共通しているのは何だと思う?」
「……才能?」とソータが答えます。 「もちろんそれもある。でもね、一番は**『転んでも、必ず立ち上がること』**なんだ。フィギュアスケートは、何度も何度も氷に叩きつけられるスポーツだ。でも彼らは、痛みを堪えて笑顔で滑り切る。その強さが、僕たちの心を打つんだ」
shimo先生は黒板の隅に、小さな星のマークを描きました。
「オリンピックは、選ばれた人だけの場所じゃない。テストで満点を取ること、苦手な跳び箱ができるようになること、友達に優しくすること。君たちが毎日頑張っているその一歩一歩が、実は自分だけの『金メダル』へと繋がっているんだよ」
チャイムが鳴り響きます。 「さて、算数の時間は終わっちゃったけど(笑)、今日の宿題はこれだ。『今の自分にできる、最高の一歩を考えてくること』。ミラノで戦う選手たちに負けないくらい、熱い一日にしようじゃないか!」
「はい!」
教室には、今までで一番大きな声が響きました。 アカリはノートの隅にスケート靴の絵を描き、ソータは次の休み時間にサッカーボールを持って駆け出していきました。
shimo先生は、窓から見える冬の青空を眺めながら、自分も何か新しいことに挑戦してみようかな、なんて、少しだけ背筋を伸ばすのでした。
