『理非曲直』(りひきょくちょく)
道理にかなったこととそうでないこと、正しいことと間違っていること、善と悪、正と不正を意味する四字熟語。
理非とは道理にかなうことと外れたこと、曲直とは曲がったこととまっすぐなこと。という類義語を重ねる構成の四字熟語となっている。
退職代行サービスの「モームリ」を運営するアルバトロスというベンチャーに警視庁が弁護士法違反容疑で家宅捜査に入った。
退職の意思を代行して伝えるだけなら違法性は低いが残った有給の処理など退職に伴う交渉を代行すると弁護士法違反となる。
さらに、弁護士資格がない者が報酬を得る目的で弁護士に法律事務をあっせんする行為も弁護士法違反の可能性が高くなる。
退職代行サービス「モームリ」は退職代行に伴う会社との交渉などを弁護士に紹介した見返りに弁護士事務所から紹介料などを受け取っていた疑いがあるらしい。
個人的には退職の意思くらい自分で伝えるべきという感覚だが、現代ではこんなサービスの成立するのかな、くらいに受け止めていた。
依頼する方は、自分で会社に退職意思を伝えるのは気が引けるから、お金を払ってでも誰かに代わって欲しいという気持ちも解らなくはない。
しかし、単に会社へ退職の意向を伝える行為を代行してもらうだけに留まらず、会社から貰えるものは少しでも貰いたいという気持ちで様々な交渉を代行してもらおうとなると、またさらに費用が発生することになる。
きっと、そこまで考えが至らず、退職意思伝達の代行も会社との交渉の違いを理解することなく退職代行サービスを利用する人が大半なのだろう。
それが『理非曲直』(りひきょくちょく)という四字熟語に表されるように、道理にかなったこととそうでないこと、正しいことと間違っていることを理解する必要がある。
さらに、違法性が高い行為と知りつつ退職代行サービス側も弁護士を斡旋する見返りに紹介料を受け取るという行為が行われていたのであれば、それは悪質な行為という判断になる。
違法性と道徳感覚、それがサービス開発を行う場合のキーワードになるのは今も昔も変わらない。
『理非曲直』(りひきょくちょく)
