ボクシング那須川天心対井上拓真に学ぶ『竜騰虎闘』(りゅうとうことう)

『竜騰虎闘』(りゅうとうことう)

実力が拮抗した二者が互いに激しく争うことをたとえる四字熟語。

竜と虎のように、力の差がない強者同士が持てる力を尽くして戦う様子であり、竜が勢いよく天に昇る「竜騰」と、虎が激しく戦う「虎闘」を組み合わせた四字熟語。

ボクシングWBC世界バンタム級王座決定戦が行われ、大橋ジムで井上尚弥選手の弟の井上拓真選手と帝拳ジムの那須川天心選手がぶつかった!

前回堤選手に敗北した井上拓真選手よりも勢いとスピードに定評がある那須川天心選手の方が、どちらかと言えば戦前の下馬評が高かったように思える。

それを覆しての井上拓真選手の3-0での完全判定勝利という結果だった。

まさに、『竜騰虎闘』(りゅうとうことう)で実力伯仲の熱い戦いだったようだ。

そして、何よりも両者の評価を上げたのが、試合が終わった後の対戦相手を称えるやり取りであり、戦後のコメントだった。

これまでのキャリアで初の黒星を喫した那須川天心選手だが、判定時にはしっかりと井上拓真選手に拍手を送り、ファンには深々と頭を下げた。

井上拓真選手も1Rの立ち上がりで那須川天心選手の強さを実感したとコメントし、本当に苦労の末に勝利を手にした安堵の気持ちを表した。

このように、本当に強い者同士はつまらない煽りは必要なく、相手に向き合いながらも実は自分自身と向き合っているという競技者の一面を垣間見せた。

どんな競技も相手を上回ることを目指すが、そこで向き合うのは相手と同時に自分自身ということを教えてくれた気がする。

そして、試合後は勝っても負けても相手を称え、そして次の試合に向けてまた自分の弱さや足りないところを補い、強いところを伸ばすためにしのぎを削る。

これからも若いこの二人の戦いから学べることはたくさんあるだろう。まずは今回の疲れを癒して、次なる戦いへ向けて再スタートして欲しい。

『竜騰虎闘』(りゅうとうことう)