音声吹き替えAIで「声の輸出」に学ぶ『猫を追うより皿を引け』

『猫を追うより皿を引け』

何か問題が起こったときに、表面的な対応をするのではなく、根本的な原因を解決することが大切だという意味のことわざ。

魚を盗む猫をいくら追い払っても、またすぐにやってくるため、根本的な原因であるはずの魚の乗った皿を移動させて解決しろということ。

日本アニメが世界的に人気が広がる中で、声優事務所などが「声の保護と多言語協会」を立ち上げた。

声優本人の声質のままで複数言語に吹き替える技術を活用した音声AIで、声優の吹き替え翻訳を支援するという。

現時点では海外での日本アニメは字幕が主流で、吹き替え版はコストが高くなってしまうため、人気がある一部の作品しか対応できていない。

そんな理由から、世界各地の現地語での吹き替えや字幕作品が正規ルートではなく、海賊版として出回っている現状が大きな損失になっていたり、声優や版権元の権利を侵害しているケースも多いとのことだ。

そこで、必要な対応は、海賊版を流通させる側を追及するような猫を追うのではなく、正規版を流通できてないという根本的な原因を取り除くことが重要になる。

日本国内でも声の権利を直接保護する法律がなく、「声優の声」が無断で使用されているという問題もある。

この問題にも、声優の声や吹き替えた音声のデータに電子署名を埋め込む技術も進化してきているため、無断使用された場合には追跡をするという対応もできるようになるらしい。

何事にも経費はかかるが、特にクリエイティブには多大なコストがかかっている。

それを軽々しくコピーする輩や無許可にAIで生成する海賊たちには、皿を引くような根本的で厳格な対策で対抗するしかないのだろう。

おサカナくわえたどら猫を追いかけるのは、陽気なサザエさんだけにしておきたいものだ。

『猫を追うより皿を引け』

BTS握手会で無理やりキス事件に学ぶ『推己及人』(すいききゅうじん)

『推己及人』(すいききゅうじん)

自分の心で他人の心を推し量って、他人の気持ちを理解し思いやりの気持ちで接すること。自分の身に置き換え、相手の立場になって考えて、自分が嫌だと思うことは他人にもしないこと。

春秋時代の孔子の弟子や再伝弟子によって書かれた『論語』が起源とされる。

韓国ソウル地検が、BTSのメンバーJINさんの頬に許可なくキスをした件で日本人女性を強制わいせつ罪で在宅起訴したと発表した。

事件が起きたのは2024年6月13日、韓国ソウルで開催されたBTSのJINさんによるファンイベント(ハグ会)。JINさんが兵役を終えて復帰したファン交流イベントだったようだ。

BTSの公式イベントにおいて、メンバーへ握手以外のキスやその他のボディタッチは固く禁止されているらしい。

当然ながら、突然の行為は本人への不意打ちとして不快感を与えるだろうし、他のファン同士とのマナーとしても禁物なことは間違いない。

自分が楽しければ、自分の記念になれば本人の気持ちや他のファンの気持ちは二の次という行為は慎むべきなのは間違いない。

まして、この行為を行ったのは50代の女性ということだから、『推己及人』(すいききゅうじん)という、己の気持ちを推し量って相手を思いやることはできる年齢だったはずだ。

イベント中にこのような行為があると、イベントそのものが中止になったり、次のイベントでは警備にもっとお金がかかるようになってしまったり、タレント本人以外にも主催者や他のファンへの迷惑にもなってしまう。

好きなタレント本人を目の前にしたファンとしては、衝動的に取ってしまった行動なのだろうが、そこはしっかりと理性を働かせる必要があったし、仕方がないでは済まされない。

さらに、在宅起訴されるということにもなっている現実は、自分自身を含めて誰のためにもなっていないこと結果を招いてしまっている。

このようなことから、自分の気持ちをしっかりと客観視して理性を働かせ、相手の気持ちを思いやって行動することの大切さを学ぶことができる。

『推己及人』(すいききゅうじん)な行動ができる、そんな大人に私もなりたい。

スイカ発行記念日とペンギン引退に学ぶ『感佩深謝』(かんぱいしんしゃ)

『感佩深謝』(かんぱいしんしゃ)

「心から深く感謝する」という意味で、相手からの厚情や恩義に対して深い感謝の念を表す際に使われる四字熟語。

感佩(かんぱい)は、心から感謝して忘れないこと。深謝(しんしゃ)は、深く感謝することや深く謝罪する際に用いられる言葉。

「Suica」というサービスは、2001年11月18日JR東日本によって首都圏の424駅でサービスを開始した。

自分自身も当初は戸惑いながらもSuicaガードを入手して使ってみたら、驚くほど便利さを感じたことを覚えている。

そして、それまでの人が切符を切るという作業が少しずつ減り、やがては見かけることがなくなる過程を見てきた。

当初は乗車券としてしか利用できなかったが、その後は少しずつ電子マネーとしての機能や全国の交通系ICカードと相互利用ができるようになるなど、様々な場面でのサービスが拡充してきている。

そんなJR東日本は、2025年11月11日にSuicaの象徴として長年親しまれてきたキャラクター「Suicaのペンギン」を2026年末をもって卒業させると発表!

JR東日本としては、Suicaが今後迎える新たな進化に合わせるためという理由らしい。

2026年秋にモバイルSuicaアプリへコード決済機能導入が予定されていて、それを節目にSuicaブランドを新たな段階に進めることを目指し、同時にキャラクターも刷新するということのようだ。

Suicaペンギンキャラクターは名前が公表されてなくて、正式には「名前はない」らしい。その理由は、このペンギンキャラクターは、あくまでも利用者一人ひとりの分身のような存在であるためだという。

我々を切符という紙ベースから解放してくれたSuica。
小銭が足りなくても買い物ができるようにしてくれたSuica。
JR東日本以外の地下鉄や地方でも使えるようになってくれたSuica。
さらに、来年の今頃にはコード決済機能が搭載されそうなSuica。

Suicaとキャラクターのペンギンには、まさに『感佩深謝』(かんぱいしんしゃ)の気持ちを忘れない!

暴君ハバネロの日に学ぶ『夏癸殷辛』(かきいんしん)

『夏癸殷辛』(かきいんしん)

古代中国の夏王朝の桀王と殷王朝の紂王のことを表す四字熟語。 暴君をたとえるときに使われる言葉。

古代中国の夏王朝の桀王と殷王朝の紂王のことから。
「癸」は、夏(カ)という国にいた桀王(けつおう)の名前。
「辛」は殷(イン)という国にいたの紂王(ちゅうおう)の名前。
桀王と紂王はどちらも暴君として有名だった。

今日は「暴君ハバネロの日」
2003年(平成15年)11月17日、「キャラメルコーン」「オールレーズン」「ハーベスト」で知られる東ハトという製菓会社から「暴君ハバネロ」という激辛スナックが発売された。

その日にちなんで、東ハトが「暴君ハバネロの日」と制定したそうだ。

株式会社東ハトは、1952年(昭和27年)6月10日に東京製菓株式会社として創業。

社名の「東京製菓」は同じ名称の企業がたくさん存在していたらしく、初代社長の好みだった鳩を冠して「鳩印東京製菓」というブランドで展開。

その上で、1996年(平成8年)2月に社名を現在の株式会社東ハトに改称したという経緯がある。

自分自身も幼い頃から現在に至るまで、キャラメルコーンや東ハトオールレーズンはずっとお世話になりっぱなしで大好きなお菓子だ。

「暴君ハバネロ」が発売開始となった2003年にはもうすっかり大人だったので、自分でスナック菓子を買う機会はすくなくなっていたが、どこかでちょっとした飲み会があったり、集まりがあったときに出された激辛スナックには一瞬で魅了された記憶がある。

確かに「暴君」の異名を持つだけの辛さとインパクトがあったと思う。

その「暴君」というと、ローマ皇帝だった「ネロ」という人物がいて、それがまた「ハバネロ」というトウガラシ属の植物の一種と結びつき、辛いスナックから「暴君ハバネロ」という商品名につながったと推測される。

ただ、「暴君」という言葉を無理やり四字熟語にすると、中国の歴史上では『夏癸殷辛』(かきいんしん)という言葉にたどり着いた。

古代ローマ帝国のネロと夏の桀王(けつおう)、殷の紂王(ちゅうおう)では誰が一番「暴君」だったのだろうか?という歴史のロマンに思いを馳せる「暴君ハバネロの日」だ。

1セント硬貨(ペニー)製造終了に学ぶ『無用之用』(むようのよう)

『無用之用』(むようのよう)

一見役に立たないように見えるが実は重要な役割を果たしているもの。すぐには役に立たないが、本質的な価値があるものという意味の四字熟語。

すぐに役に立つものを有用の用とするのに対して、すぐには役に立たないものがそこに計り知れない有用性を見出すことを教えてくれる。

中国の思想家である老子や荘子の言葉に由来していて、荘子にある「人は皆、有用の用は知れども、無用の用を知るなきなり」(人は皆、役に立つものの役には立つことは知っているが、役に立たないものの役には立たないことは知らない)という言葉が源泉の一つとなっている。

2025年の今年、日本人でノーベル賞を受賞した北川進氏も学生時代に読んだ荘子の言葉に影響を受け、研究の初期段階では「何の特徴もない」とされていた「金属有機構造体」の素材に注目、その多孔性に着目してノーベル賞受賞という功績につながった。

2025年11月12日(アメリカ時間)に、230年以上もアメリカの文化に根付いていた1セント硬貨(ペニー)の製造を終了したそうだ。

1793年に導入された当時、1セントでビスケットやキャンディーが買えたが、現在は製造コストは1枚あたり約4セントになることやキャッシュレス時代に向けてトランプ大統領が1セント硬貨の製造中止を指示したことから製造終了となった。

自分が初めてグアムやカリフォルニアのロングビーチなどに旅行や短期留学に行ったときは、それぞれの硬貨の違いや価値の違いに戸惑って使いきれず、ドル紙幣などを使っていた結果、たくさん硬貨が余って帰国することになったことも思い出の一つだ。

それが、キャッシュレス決済の普及により、少額硬貨などは製造や流通のコストが高くなるために1セント硬貨(ペニー)の製造が終了することは、感傷的な感じもするが時代の変化の要請だろう。

ただ、当然ながら法定通貨としての役割が終わるわけではないので、引き続き現在まで製造された1セント硬貨(ペニー)は流通し続けるし使うことができる。

そして、一ドルは100セントという意味で、1セントという価値にも大きな意味がある。

現在は1ドル150円前後と考えれば、一セントは1円50銭くらいの価値ということになるが、1ドルも100ドルも1億ドルも1セントの積み重ね。

同じく10万円も100万円も100億円も1円の積み重ねだから1円を大切に考えられない人は1万円に泣くことになる。

そんな意味で、まさに1セント硬貨(ペニー)は『無用之用』(むようのよう)の象徴と考えることができるだろう。

「ペルソナ・ノン・グラータ」に学ぶ『浅薄愚劣』(せんぱくぐれつ)

『浅薄愚劣』(せんぱくぐれつ)

思慮や知識が浅く、深みがないこと。愚かで劣っていること、おろかでばかばかしいこと。

高市総理大臣の台湾有事を巡る発言に関して、中国の駐大阪総領事が「汚い首は斬る」とXに投稿したという報道があった。

まさに外交官としては『浅薄愚劣』(せんぱくぐれつ)極まりない発言だ。

これはいかなる事情があろうとも外交官として発言するべき内容ではないと政府を始めとする自民党、他党の議員たちからも一斉に抗議の声が上がっている。

メディアも様々な議員などの発言を報じようと一斉に騒ぎ出した。

そして、「ペルソナ・ノン・グラータ」という聞き慣れないラテン語が飛び交う。英訳すると「Person Not Welcome」で、日本語で直訳すると「受け入れ難い人物」。

その意味は、外交官でも接受国からの要求に基いて、その国に駐在する外交官として入国できない者や、外交使節団から離任する義務を負った者を指す外交用語ということだ。

外交官として自分の発言が及ぼす影響を考えれば、SNSに投稿すべきかどうかは一目瞭然だと思うが、そこは外交の世界なので「戦狼外交」という中国独特の攻撃的外交姿勢だから冷静かつ毅然と対処すべきだという声もある。

確かに、高市総理大臣の発言は中国にとっては好ましくなかったのであろうが、それに対抗するかのように「戦狼外交」的な発言で応酬するとなると、これがエスカレートすれば問題や行き違いも大きくなる。

これによって日本も「ペルソナ・ノン・グラータ」という手段で当該総領事を外交官として離任させれば、お互いの国の報道が国民感情を煽ってエキサイトさせられるような事態に発展しかねない。

口は災いの元である。

私たちもついつい相手の挑発に乗り感情的になったり、行き過ぎは発言をしてしまうこともある。

特に国と国の外交では、片手で握手しても反対側の手は拳を握って戦う姿勢を見せることが必要なときもある。

ただし、私たち一般の社会人は、お互いに冷静に、そしてときには毅然とした対応で、トラブルや行き違いを避けるように努めなければ社会や世の中は成り立たない。

『浅薄愚劣』(せんぱくぐれつ)にならないよう、相手の感情や立場を尊重した発言に努めよう!